コンペ・相見積とは?各発注方法の違いを理解しよう
まずは、コンペと相見積の違いについて解説します。この2つは非常に似ていますが、少し意味が異なります。どちらもホームページ制作の過程で用いられる用語ですので、その違いを明確にしておきましょう。
コンペはコンペティション(competition)の略で、複数のホームページ制作会社へ提案依頼を行い、各社の見積や企画の内容を比較検討する方式のことを指します。
一方で相見積は、コンペよりも自社のホームページ制作に関しての詳細が決まっているときに用いる方式です。複数の企業に対して見積や提案を依頼するという点ではコンペと似ていますが、ペルソナ、ページ数、盛り込みたいコンテンツ内容、デザインなど、ホームページの方向性がすでに確定しており、あとは見積をとって依頼する会社を決めるだけの状態のときに使います。
自社で、すでに具体的なホームページの方向性が定まっていれば相見積を依頼、そうでなければコンペを開催する。
上記の認識でいれば間違いありません。
ホームページ制作時にコンペを開催するメリット
次に、コンペのメリットとデメリットについて把握していきましょう。まずはメリットから。
コンペのメリットは次の2点です。
メリット
・複数の企業から多くのアイディアを集められる
・提案書などから相性や実力を見極められる
複数の企業から多くのアイディアを集められる
コンペの最も大きなメリットと言っても良いでしょう。コンペは複数の企業から提案と金額の提示を受けられます。これにより、自社では考えていなかったアイディアや新たな視点でのアプローチ方法などを発見出来る可能性があります。
提案書などから相性や実力を見極められる
複数の企業と比較することで、発注前に相性やホームページ制作会社の実力を比較できるのもメリットの1つです。発注前にそれらを知ることで、後々の大きなトラブル防止にも繋がるでしょう。
しかしながら、上記2点のメリットは、発注者側にある程度の知識があり、ホームページ制作会社の実力や良し悪しを判断できる状態であることが大前提です。万が一、知識が浅い状態でコンペの開催を検討しているのであれば、一度立ち止まり、もう一度見直しの機会を持つべきです。
そのままコンペを開催しても、良いホームページ制作会社と巡り合える確率・思い通りのホームページが完成する確率は非常に低くなってしまうでしょう。
ホームページ制作時にコンペを開催するデメリット
続いてコンペのデメリットについて見ていきましょう。
デメリット
・優良な制作会社は早々に撤退する
・制作会社とのコミュニケーションが薄まる
・提案の質が悪くなる
・ホームページ公開まで猶予が必要
それぞれ詳しく解説します。
優良な制作会社は早々に撤退する
もしかすると、コンペを開催することで「各ホームページ制作会社が、しのぎを削って低単価で良い提案をしてくれるのでは?」と期待している方もいるかもしれません。しかし、実際は全くの逆なのです。
優良な制作会社は案件獲得に困っておらず、必要以上の圧力を感じたり、時間的・人的コストをかけるに値しないと感じたりすれば、早々に撤退します。無理な価格競争を強いれば、優良な制作会社ではなく、むしろ案件があまり獲得できておらす、資金にも余裕の無い会社しか残らない…という事態に陥る可能性が高いと言えるでしょう。
制作会社とのコミュニケーションが薄まる
コンペは、複数のホームページ制作会社と同時期に話を進める必要があります。そのため、発注側の担当者は、1社に多くの時間を割く余裕が無く、それぞれの会社とのコミュニケーションが薄まっていく可能性が考えられます。
密なコミュニケーションが取れないことで、認識のズレや納期の遅れなどにも繋がりかねません。
提案の質が悪くなる
コンペは、いくつかの制作会社に提案を依頼し、その中から発注側が選択する方式です。つまり、制作会社側から見れば、提案に時間を割いたところで選ばれる保障はありません。そのため、多くの制作会社が集められたコンペでは、「まぁこんなもんでいいか」と本気度の低い提案をされる可能性も…。
コンペを開催するのであれば、制作会社を多くしすぎないことがポイントです。3~5社程度に絞り、制作会社のやる気を削がない工夫も必要でしょう。
ホームページ公開まで猶予が必要
コンペの開催には、コンペにオファーする会社を選定したり、提案依頼書や見積依頼書など各種資料を作成したりといった、発注側の準備も必要になり、時間を要します。
そのため、ホームページ制作にかける時間に加えて、コンペが完了するまでの期間も加味したスケジュールを立てておくことが必要です。コンペは期間に余裕がある場合にのみおすすめできる手法と言えるでしょう。
具体的には、コンペの準備~完了まで2ヶ月程度の期間を勘案しておくことをおすすめします。
以上がホームページ制作やリニューアルに伴うコンペ開催のメリット・デメリットです。正直に申し上げると、コンペの開催はデメリットの方が大きい場合が多いでしょう。特に、ホームページ制作に関して知識が無く、様々な提案の良し悪しを判断できる自信がない場合は、コンペは避けるべきと断言出来ます。
ホームページ制作時のコンペの流れ
しかしながら、少ない予算でよりよいものを作るために、やはりコンペを視野に入れたいと考える方もいるでしょう。そんな方に向けて、コンペの大まかな流れと制作会社を評価する時のポイントについて触れていきます。
まずは、コンペの流れについて確認しましょう。大まかな流れは次のとおりです。
1.プロジェクトの策定
2.候補を3~5社集める
3.各種書類の作成と制作会社への送付
4.提案内容や見積の精査
5.業者を評価して決定
プロジェクトの策定
コンペを開催するには、自社のホームページについて、その目的や予算感などを明確に理解し、社内で共有出来ている必要があります。
万が一、これらが出来ていない場合は、まずはそこから始めましょう。ホームページを作る目的や予算、期間などを決めるのはもちろんですが、ホームページを作るに至った背景や自社の抱えている課題、ホームページによって達成したい目標なども明確にまとめておくことをおすすめします。
発注する企業が決まり、制作を進める段階で、ホームページを作るに至った背景や思いなども共有できると、制作会社と一丸となってホームページを作ることが出来るため、非常に満足のいくサイトを作れる可能性が高まります。
ホームページをリリースしたいと考える日から逆算して、おおよそ1年ほど前から準備を始めるのが理想的です。
自社が抱える課題とサイトを作ることで達成したい目標、それに割く時間と予算など、必要な事項を明確にして整理し、各ホームページ制作会社へ分かりやすい提案依頼書を送付するための準備を行いましょう。
候補を3~5社集める
自社のホームページに関して、認識の共有等が済んでいる場合はここからがスタートです。
コンペ参加のオファーをする制作会社を3社、多くても5社程度にとどめて、候補を選定しましょう。コンペに参加する企業が多すぎると比較検討もそれに伴って難しくなりますので、あまり増やしすぎないことをおすすめします。
各種書類の作成と制作会社への送付
コンペに参加してもらう企業を絞り込んだら、次は各種書類の作成と送付のやり取りを始めましょう。各種書類とは具体的に以下の書類です。
・情報提供依頼書(RFI)
・提案依頼書(RFP)
・見積依頼書
情報提供依頼書(RFI)
情報提供依頼書とは、コンペへの参加依頼を行う企業に対して、提供しているサービスや実績など、会社情報の提出を求めるための書類です。この書類の情報を元に、自社の課題を解決するサイトを作ってもらえそうか?を判断しましょう。
提案依頼書(RFP)
提案依頼書は、各ホームページ制作会社から自社にあった提案をしてもらうために必要なことをまとめた資料です。ホームページを作るに至った背景や、自社の課題、予算やスケジュールなどの概要を始め、納品形態やセキュリティ、サーバー、運用の要件などをまとめましょう。
見積依頼書
自社で項目を設定し、各社に共通した様式で見積を提出してもらいましょう。各社の様式でそれぞれの見積書をもらってしまうと、比較が難しくなります。様式を統一して、比較検討がしやすくなるように工夫することをおすすめします。
各書類を揃えて、制作会社を評価するための準備を行いましょう。
提案内容や見積の精査
各書類が集まったら、提案内容や予算を確認して、自社の要件と合っているか、費用対効果はどうか?などを比較検討しましょう。予算だけでなく、ホームページ完成後の運用にも目を向けて、総合的に判断することをおすすめします。
制作会社を評価して決定
制作会社が揃ったら、それぞれを評価します。チェック項目をあらかじめ設定し、チェックシートに当てはめながら公平に評価していきましょう。自社の課題解決に繋がりそうか?提案依頼書の内容が反映された提案をしてくれているか?など、総合的に判断し、自社に最適な制作会社を選択しましょう。
そして、依頼する制作会社が決定したら、速やかに連絡しホームページ制作を進めていきます。
以上がコンペの大まかな流れです。
コンペで制作会社を評価するときの3つのポイント
続いて、ホームページ制作会社を評価する時の方法について解説します。コンペに限らずですが、ホームページ制作を依頼する際は、複数の企業の中から依頼する企業を選択します。
制作会社を選ぶ際、評価すべき点は各会社の状況によって多少異なるため、詳細な評価基準は自社で用意し、チェックシート等を作成して公平かつ客観的な評価をするための準備をしましょう。
チェック項目を決める際は、以下の3点を見極められるよう、項目を整えていきましょう。
・提案の良し悪し
・担当者の力量や相性
・会社の実績等
提案の良し悪し
提案内容が自社の抱えている問題や予算に適しているかを確認する項目を作成しましょう。具体的には、次のような項目です。
・自社の課題を把握し解決に向けた提案がされているか?
・提案内容は現実的か?
・予算内に収まっているか?
・納期は問題ないか?
・無理なスケジュールが組まれていないか?
自社の課題と提案内容を照らし合わせて吟味する必要があります。
担当者の力量や相性
提案内容と同じくらい、担当者の評価も重要です。担当者は、ホームページ制作が実際に始まる前の段階から、場合によっては制作が完了し、運用がスタートしてからも連絡を取り、長く関わっていく関係になります。力量や相性を見極める項目も入れておくと、コミュニケーションコストが無駄にかかってしまう可能性を下げられます。
・打ち合わせやプレゼンの際、話は分かりやすいか?
・レスポンスは早いか?
・ヒアリングは十分に行ってくれたか?
・柔軟な提案はあったか?
・一緒に仕事をしたいと感じたか?
・この人に任せたいと思えたか?
上記のような項目を用意しておくと良いでしょう。
会社の実績等
会社自体の評価項目も忘れずに。
・自社と似たようなジャンルの実績はあるか?
・サイトコンセプトなど根幹となる部分のアドバイスはもらえそうか?
・自社がイメージしているデザインとの差異はどの程度か?
・要望通りの機能を実装してくれそうか?
・集客の戦略や公開後の運用までサポートしてもらえるか?
・疑問やトラブルがあった際のサポート体制はどうか?
上記のような項目を用意して評価していきましょう。
本記事で記載している項目はあくまで一例です。自社にとって最適な制作会社を選定できるよう、評価項目を熟考しましょう。
コンペでのトラブル・失敗例
さて、本記事もそろそろ終盤ですが、本記事を読んでいる方の中には、これから初めてのコンペ開催に向けて準備をしたいと考えている方もいるでしょう。そこで、コンペでよくあるトラブル・失敗例について、2例とりあげます。
デザイン重視で失敗した例
「デザイン重視にしたら他がダメだった。サイト運用のアドバイスも欲しかった。」
自社内でホームページ制作に関する知識を十分に持った人が居ない場合、複数の制作会社から提案を受けても、その良し悪しを正確に判断できる可能性は高くありません。知識がない状態で各社の提案を比較した場合、決定要因が単なる「決裁者の好み」であることも珍しくないのです。
知識が無ければ好みで選ぶより他に、判断基準がありませんから、自ずとそうなるでしょう。しかし、デザイン等が好みだからと言って、その制作会社が、その他すべてにおいて自社に最適な提案をしてくれるとは限らないのです。
主観的な好みや印象で決めてしまわず、しっかりとチェックシートを準備して、自社にとって必要なサービスやサポートが受けられるかを客観的に判断しましょう。
コンペ資料が不十分だった例
「準備不足が原因で提案内容がバラバラに。比較できない提案になりコンペとして成立せず。」
コンペ資料が不十分・伝える内容が統一されていないなど、依頼をする側の準備不足が要因となり、十分な提案をしてもらえないケースです。コンペを依頼する際は、各制作会社に共通の資料を提出し、提出してもらうもの(見積書等)も出来るだけ書式を統一するなど、比較検討しやすくする工夫が必要といえるでしょう。
どちらも、ホームページ制作に関する知識が浅い状態でコンペの開催に踏み切ってしまった場合によくある失敗です。コンペを開催する際は、ある程度の知識の習得と十分な事前準を済ませてから取り組むことをおすすめします。
コンペをせずにホームページ制作会社を選定する方法
ここまで本記事を読んでいただいた方なら、すでにお分かりかと思いますが、コンペ開催はあまり大きなメリットがありません。特に、ホームページ制作に関して、知識が浅い状態では、コンペを開催しても非常に高確率で失敗に終わるでしょう。
コンペによって、安く発注出来たと思いきや、コミュニケーションが上手くいかず、納期を大幅にずらすハメになってしまったり、希望するサポートが受けられず途中で制作会社を変更せざるをなかったり…様々な問題が起こる可能性が考えられます。
一方で、コンペを開催せず、指名発注で制作会社を選定するとWeb初心者でも思い通りのホームページを作れる可能性は非常に高まります。
なぜなら、コンペでなく指名発注をすることで、制作会社側も「確実に仕事がもらえる」状況のため、コンペよりも熱量をかけて提案書などを作成する可能性が高いからです。
さらに、1つの制作会社と密にコミュニケーションを重ねていくことで、発注側の意図が伝えやすく、疑問や不安が生じにくいのも大きなメリットでしょう。
1.口コミやネットで候補を集める
2.チェックリストで2、3社程度に絞る
3.問い合わせて悩みや課題を相談し、見積をもらう
4.必要なら面談をして詳細を聞く
5.相性や予算が問題無ければ発注
コンペを開催せずに、ホームページ制作会社を選定する場合は以上の手順を踏みましょう。コンペよりも密にコミュニケーションを取るため、安心感があり、初心者には最適です。また、短い期間で着手してもらうことも出来るため、ホームページリリースまでの期間を短縮できる可能性もあります。
非常におすすめの方法と言えるでしょう。
ホームページ制作時のコンペの進め方と注意点まとめ
本記事では、ホームページ制作を検討する際のコンペについて、メリット・デメリット、大まかな流れ等を解説しました。そのうえで、ホームページ制作に関しての知識が浅い場合や、制作会社の良し悪しが判断できない場合には、コンペはおすすめ出来ず、指名発注にすべきとのアドバイスをおこないました。
ホームページ制作会社は非常に多く存在し、実力や実績も様々です。そのため、選び方を誤ると自社にとって最適な提案をしてもらえません。自社の知識量やリソースに合わせて適切な方法で制作会社を選定し、良い提案をしてもらえる環境を整えていきましょう。
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