大規模修繕の建物診断の必要性とは?タイミング、費用、流れを徹底解説
2024/05/17

築年数が経過するにつれて、建物は目に見えない劣化が進みます。
劣化を放置すると、深刻な問題に発展しかねません。
問題を回避するためには、定期的な診断で建物の健康状態をチェックすることが重要です。
この記事では、大規模修繕における建物診断の必要性について、タイミング、費用、流れも含めて解説します。
建物診断で、建物の老化を的確に把握し、安心安全な住まいを守りましょう。

建物診断とは?

建物診断とは、建物の状態を詳細に調査し、劣化状況や不具合を把握するための専門的な調査です。
アパートやマンションの大規模修繕は、建物の価値を守るために欠かせません。
しかし、タイミングや内容を間違えると、過剰な費用がかかったり、逆に建物の劣化を招いたりする可能性があります。
そこで重要となるのが、建物の健康状態を客観的に判断するための建物診断です。
建物の人間ドックとも言えるこの診断は、建物の各部位を隅々まで調査し、劣化状況を詳細に把握できます。
建物の劣化は、外観からは判断できないことが多く、定期的な診断を受けることが重要です。
診断結果は、長期修繕計画の見直しや、修繕業者の選定にも役立ちます。
建物の健康状態が気になる方は、ぜひ専門家に相談して、建物劣化診断を受けることをおすすめします。

建物診断ではどこを見る?

建物診断では、建物の各部位を隅々まで調査し、以下の項目を詳細に調査します。

建物の部位

調査箇所

躯体(構造体)

ひび割れ、鉄筋の腐食、コンクリートの劣化など

外壁

ひび割れ、塗装の劣化、タイルの欠損など

屋上

防水層や排水設備の劣化状況など

屋根

棟板金や瓦のズレ、雨樋の詰まりなど

給排水設備

蛇口や排水口からの水漏れ、配管の腐食など

電気設備

ブレーカーや配線、コンセントなど

上記以外にも、バルコニー、廊下、階段、エレベーター、共用設備など、建物の各部位を調査します。
それぞれの部位に特有の劣化状況を把握し、適切な対策の検討が必要です。

建物診断の種類

一口に「建物診断」と言っても、その種類は多岐に渡ります。
建物の状態や目的に合わせて、適切な診断を選ぶことが重要です。
ここでは、代表的な建物診断の種類とそれぞれの概要を紹介します。

経年劣化診断

経年劣化診断は、建物の築年数や使用状況に基づいて、劣化の進行状況を調査する診断です。
建物の主要な部位を目視や打診などで確認し、ひび割れ、塗装の劣化、タイルの欠損、鉄筋の腐食、コンクリートの劣化などを調査します。
調査対象となる主要な部位は、以下の通りです。

  • 外壁

  • 屋上

  • 躯体(構造体)

  • 共用廊下

  • 階段

  • エレベーター

  • バルコニー

経年劣化診断の結果は、大規模修繕工事の際に 修繕時期や内容を判断するための重要な資料となります。

配管劣化診断

配管劣化診断は、建物の水道・排水設備を調査し、劣化状況を把握することで、水漏れや詰まりなどのトラブルを未然に防ぐことができます。
水漏れは、建物の構造体や内装材を劣化させ、カビやシロアリの発生の原因にもなるため、早期発見・早期対策が重要です。
配管劣化診断には、主に以下の方法があります。

  • 目視調査:配管の外観を目視で確認し、サビ、腐食、亀裂などの異常がないかを確認する

  • 打診調査:ハンマーで配管を叩き、内部の状態を確認し、音の違いによって、劣化状況が判断できる

  • 内視鏡調査:内視鏡を配管内に挿入し、内部を直接観察し、サビや腐食、亀裂などの状態を詳細に確認する

  • 赤外線カメラ調査:赤外線カメラで配管を撮影し、漏水箇所を特定する

  • 超音波探傷試験:超音波を使って配管の肉厚を測定し、腐食による薄肉箇所を発見する

どの方法を採用するかは、配管の種類や状態、調査目的によって異なります。
配管劣化診断は、5~10年に一度程度の診断頻度が目安です。

耐震診断

耐震診断は、旧耐震基準で建てられた建物の耐震性を評価する診断です。
1981年(昭和56年)以前に建てられた、現行の耐震基準を満たしていない建物が対象となります。
診断方法は、一般診断、精密診断、3次診断の3種類があり、調査内容や費用、精度が異なります。
耐震診断の目的は、地震発生時の建物の倒壊・崩壊リスクを評価し、耐震補強が必要かどうかを判断するためです。
耐震診断は、建物の安全性を確保するために非常に重要です。
特に、地震リスクの高い地域では、定期的に診断を受けることをおすすめします。

収益性(資産価値)診断

収益性(資産価値)診断は、建物の資産価値を多角的に分析し、将来の収益性を予測するものです。
収益性(資産価値)診断では、以下の項目を調査・分析します。

  • 周辺環境:建物の立地や周辺の商業施設、交通機関などの状況を調査し、建物の資産価値に影響を与える要素の分析

  • 建物の状態:建物診断で得られた劣化状況や耐震性の評価に基づき、建物の将来的な修繕費用の算出

  • 法規制:都市計画法や建築基準法などの法規制を調査し、建物の利用に制限がないかの確認

  • 市場動向:最近の不動産市場の動向を分析し、同地域の類似物件の取引事例などを参考に、建物の適切な売却価格の算出

これらの調査結果に基づき、収益シミュレーションを行い、建物の将来的な収益性を予測します。
具体的には、建物の賃貸料収入や売却益などを想定し、建物の将来的な収益を算出することが可能です。
また、修繕費や固定資産税などの建物の維持管理にかかる費用を想定し、収益から控除します。
さらに、想定収益と想定費用の割合を算出し、建物の収益性を指標化します。

建物診断のメリット

建物診断には、以下のようなメリットがあります。

建物の劣化・不具合状況を把握できる

建物は、年月が経過するにつれて、雨風や紫外線などの影響で劣化していきます。
しかし、目に見える部分だけでなく、内部の鉄筋やコンクリートなども劣化が進んでいることがあります。
建物診断では、専門家が建物の各部位を隅々まで調査し、目に見えない劣化状況の把握が可能です。
劣化状況を早期に発見することで、重大な欠陥や損傷を防ぐことができます。

工事の実施時期や修繕内容が明確になる

建物診断を受けることで、建物の劣化状況を正確に把握できます。
それにより、「いつ頃どのような工事をすればいいのか」、「どのような修繕内容が必要なのか」、「どのくらいの費用がかかるのか」が分かってくるのです。
これらの情報を事前に把握することで、計画的に修繕工事を行うことができ、ムダやトラブルが未然に防げます。

修繕積立金の適切な設定が可能になる

修繕積立金は、将来的な大規模修繕工事のための費用を積み立てるためのものです。
しかし、適切な金額が設定されていない場合、修繕時に不足が生じ、住民に多額の負担を強いることになりかねません。
建物診断を受けることで、建物の劣化状況を正確に把握することができます。
また、劣化状況に基づいて、将来必要となる修繕工事の内容や費用を予測することも可能です。
予測された修繕工事の内容や費用に基づいて、修繕積立金の適切な金額を設定できます。
これにより、将来の修繕時に不足が生じることなく、計画的に修繕工事が行えます。

大規模修繕工事のトラブルを防げる

大規模修繕工事は、事前準備が不十分だと、修繕積立金の不足や施工ミスなど、思わぬトラブルが発生する可能性があります。
そこで、建物の健康状態を事前に把握し、適切な修繕計画を策定するために役立つのが、建物診断です。 
建物診断によって、建物の隠れた劣化が発見できます。
修繕工事前に劣化を発見しておくことで、工事中に思わぬトラブルが発生するのを防げます。
また、修繕内容を事前に把握しておくことで、修繕後の不具合を減らすことも可能です。

建物診断にかかる費用・時間

建物診断にかかる費用と時間は、建物の規模や診断内容、診断する専門業者によって異なります。
一般的な費用と時間の目安は、以下の通りです。

建物診断の種類

費用相場

診断にかかる時間

経年劣化診断

約20万〜100万円/棟

約1〜2週間

配管劣化診断

約20万〜500万円/棟

約1日〜1週間

耐震診断

約60万〜100万円/棟

1週間程度

収益性(資産価値)診断

約30万〜100万円/棟

約1〜2週間

建物診断にかかる費用は、調査する項目や調査方法、診断書の作成有無などによって変動します。
また、診断にかかる時間は、 診断結果をまとめるための報告書作成に時間を要する場合もあります。

建物診断のタイミング

建物診断を受けるタイミングは、主に以下の通りです。

築10年以降

大規模修繕は、建物の寿命を延ばし、資産価値を維持するために欠かせない取り組みです。
 一般的には12年を目安に実施されますが、建物の状態や劣化具合によって適切な周期は異なります。
そこで重要となるのが、専門家による建物診断です。
 1回目の大規模修繕を控えた、新築から10年目には、建物の劣化状況を正確に把握し、マンションに最適な改修計画を立案することが求められます。

アフターサポートの期限が切れる10年以内

建物診断を受けるタイミングは、築10年以降、大規模修繕工事前、売買時、長期修繕計画策定時などが考えられます。
しかし、あまり知られていないのが、アフターサポートの期限が切れる10年以内も、建物診断を受ける重要なタイミングということです。
アフターサポートとは、新築住宅の施工会社が提供する保証制度です。 
外壁や屋根などの建物の主要な部位について、一定期間保証が設けられています。
一般的には、10年でアフターサポートの期限が切れます。 
つまり、10年目を迎えた時点で、建物の主要な部位について、保証が受けられなくなるということです。
アフターサポートの期限切れは、建物の状態を把握する絶好の機会です。 
期限が切れる前に、ぜひ建物診断を受けて、建物の健康状態を確認することをおすすめします。

長期修繕計画の作成時

マンションの長期修繕計画を作成する際、建物診断は欠かせません。
建物の劣化状況を正確に把握することで、将来必要な修繕内容や費用を予測し、計画的な修繕が行えます。
長期修繕計画が不正確な情報に基づいて作られていたら、マンションの将来は思わぬ方向へ進んでしまうでしょう。
そこで、建物診断は、長期修繕計画を作成する前に、建物の劣化状況を把握するために、必ず建物診断を行うことが重要です。
一般的には、築10年目頃が最初の診断の適齢期とされています。

大規模修繕を実施する前

建物診断は、大規模修繕前に診断を行うことで、以下のようなメリットが得られます。

  • 修繕内容を明確にし、無駄な費用を抑える

  • 長期修繕計画を適切に策定する

  • 修繕業者の選定をスムーズに行う

  • 住民への説明をスムーズに行う

  • 修繕工事のトラブルを防ぐ

建物診断は、大規模修繕を成功させるために、必ず事前に診断を受けることをおすすめします。
建物診断は、大規模修繕の2~3年前に行うのが理想的です。 
早めに診断を受けることで、修繕内容や費用を検討する時間が十分に確保できます。
また、診断結果に基づいて長期修繕計画を策定したり、修繕業者の選定もスムーズに進められます。

建物診断の流れ

一般的に、建物診断は以下の段階に分けて行われます。

管理会社や診断業者へ依頼

管理会社や診断業者を選定する際は、経験や実績豊富な、信頼できる管理会社や診断業者を選ぶことが大切です。
管理会社に相談することで、診断の必要性や時期、費用などをアドバイスしてもらえます。 
また、信頼できる診断業者を紹介してもらうことも可能です。
管理会社によっては、自社で建物診断を行っている場合もあります。
診断業者を選ぶ際は、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

診断内容の決定

診断をスムーズに進めるためには、診断の目的と内容を明確にすることが重要です。
適切な診断内容を決定することで、建物の健康状態をより詳細に把握することができます。
診断結果に基づいて、適切な修繕計画を立案することで、建物の寿命を延ばし、資産価値を維持することも可能です。
大規模修繕前なのか、長期修繕計画策定のためなのか、診断の目的を明確にします。
また、診断内容についても、目視調査のみなのか、他の検査を行うのかなどを決めておくと良いでしょう。

現地調査

現地調査では、専門スタッフが建物の各部位を隅々まで調査し、写真や動画を撮影しながら、詳細な記録を残していきます。
調査内容は以下の通りです。

  • 外観調査:外壁のひび割れや欠損、雨樋の詰まりや破損、外構の劣化状況

  • 屋上調査:防水層の劣化状況、排水設備の詰まりや破損、ドームやアンテナの劣化状況

  • 共用部分調査:廊下や階段のひび割れや欠損、手すりや扉の破損、共用設備の劣化状況

  • 住戸内調査:壁や天井のひび割れやカビ、床の傷や浮き、水回りの劣化状況

  • その他:電気設備の劣化状況、防犯設備の劣化状況、地震対策の状態

調査には、赤外線カメラや超音波探知機など、専用の機器を用いる場合もあります。
現地調査は、通常1~3時間程度で行われます。

診断結果の報告

診断結果をまとめた診断書を作成し、建物の劣化状況や修繕内容などを詳しく説明します。
診断結果報告書に記載されている主な項目は、以下の通りです。

  • 建物の概要:建物の名称、築年数、構造、規模など

  • 調査内容:どのような調査を行ったのか

  • 劣化状況:建物の各部位の劣化状況を、写真や図面などを用いて詳しく説明する

  • 修繕箇所:修繕が必要な箇所のリストアップ

  • 各修繕箇所の修繕方法、修繕費用

  • 長期修繕計画

診断結果報告書は、専門的な用語や記号が使われている場合があります。 
分からないことがあれば、診断業者に遠慮なく質問しましょう。

建物診断の業者の選び方と依頼する際のポイント

建物診断は、経験や実績のない業者に依頼してしまうと、思わぬトラブルや費用が発生する可能性があります。 
後悔のない建物診断を実施するためには、以下のポイントを押さえておきましょう。

複数の業者から見積もりを取る

建物診断は、業者によって調査内容や費用、診断結果などに違いがあるため、業者選びを慎重に行うことが重要です。
そこで、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
複数の業者から見積もりを取ることで、比較検討でき、適正価格を知ることができます。
また、業者の質を判断でき、自分に合った業者を見つけられるでしょう。
複数の業者から見積もりを取る際は、3社以上の業者から見積もりを取ることがポイントです。
見積もり内容を比較し、業者の実績や資格を確認しましょう。
費用だけでなく、サービス内容も比較することも大切です。

実績豊富な業者を選ぶ

豊富な経験と実績を持つ業者は、建物の劣化状況を正確に判断し、適切な修繕計画を立案してくれます。
過去の施工事例や顧客満足度などを参考に、実績豊富な業者を選びましょう。
実績豊富な業者は、以下のような強みを持っています。

  • 建物の構造や劣化メカニズムに関する深い知識を持っている

  • 豊富な調査経験に基づいて、的確な診断を行うことができる

  • 分かりやすく丁寧な説明をしてくれる

  • アフターフォローが充実している

建物診断は、建物の将来に関わる重要な検査です。 
時間をかけて、慎重に業者を選びましょう。

中立的な業者を選ぶ

大規模修繕は、悪質な業者に依頼してしまうと、必要のない修繕工事を勧められたり、高額な費用を請求されたりするなどのトラブルが発生する可能性があります。
そこで、大事になるのは中立的な立場で診断を行う業者を選ぶことです。
中立的な業者は、建物の状態を客観的に評価し、適切な修繕計画を提案してくれます。
中立的な業者を選ぶには、以下のポイントに注意しましょう。

  • 公共機関や自治体などの団体が推奨する業者を選ぶ

  • 複数の業者から見積もりを取る

  • 診断内容や費用を明確に示している業者を選ぶ

  • 建物の種類や規模に精通している業者を選ぶ

  • 過去の施工実績を調査する

  • 口コミや評判を参考にする

  • 営業に熱心すぎる業者には注意する

大規模修繕は、マンションにとって大きな決断です。 
中立的な業者を選んで、安心・安全な修繕工事を進めるようにしましょう。

説明会に参加する

多くの建物診断業者は、定期的に説明会を開催しています。
説明会に参加すると、業者の理念や強み、診断内容などを詳しく知ることができるでしょう。
複数の業者の説明会に参加することをおすすめします。
説明会に参加した後は、実際に業者に会って話を聞いてみるのもおすすめです。
業者の担当者と直接話すことで、人柄や誠意などを判断する良い機会になります。

まとめ

ここまで、大規模修繕における建物診断について解説してきました。
この記事の要点は、以下の通りです。

  • 建物診断の重要性:建物の劣化状況を客観的に評価し、修繕が必要な箇所を特定できる

  • 事前診断のタイミング:大規模修繕の2~3年前、築10年以降、アフターサポートの期限が切れる10年以内

  • 事前診断の流れ:管理会社や診断業者へ依頼、診断内容の決定、現地調査、診断結果の報告

  • 建物診断業者の選び方:複数の業者から見積もりを取る、実績豊富な業者を選ぶ、中立的な業者を選ぶ、

  • 説明会に参加する

  • 診断結果報告書に記載されている主な項目:建物の概要、調査内容、劣化状況、修繕箇所、修繕方法、修繕費用。長期修繕計画

診断結果は、専門的な用語や記号が使われている場合があります。
分からないことがあれば、診断業者に遠慮なく質問しましょう。
大規模修繕は、マンションにとって大きな決断です。
慎重に業者を選び、安心・安全な修繕工事を進めましょう。

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